建設業許可申請の手続きには申請書類を記載して提出しますが、申請書類とは別に添付書類を提出しなければなりません。

この添付書類は申請書類の記載内容が本当に正しいかどうかそれを証明するためのものです。

添付書類の中には公的機関から取得する証明書類も含まれます。

経営業務の管理責任者(以下、経管)や専任技術者の要件などを証明する確認書類は各社の状況や都道府県によって異なってきますが、証明書類は全ての都道府県で同じもので統一されています。

今回はこの証明書類についてその詳細と取得方法を解説します。

 

証明書類とは?

これから解説する証明書類とは具体的に以下の4つのものです。

  • 身分証明書
  • 登記されていないことの証明書
  • 納税証明書
  • 登記事項証明書

上記いずれも発行後3ヶ月以内のものが必要です。

では、1つずつ確認していきましょう。

 

登記されていないことの証明書

登記されていないことの証明書とは、欠格要件の1つである「成年後見人」と「被保佐人」に該当していないことを証明するための書類です。

必要となる対象者は、個人事業主は本人、法人であれば役員と令第3条の使用人(営業所長等)です。

法務局(窓口)で取得する

この書類は、全国の法務局・地方法務局の本局の戸籍課で取得できます。

本局のみで支局・出張所では取得できません。

例えば、兵庫県なら神戸市にある神戸地方法務局(本局)で取得できます。

申請には本人確認書類(運転免許証等)の提示が必要です。また、手数料として300円の収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。

※収入印紙は法務局内で購入できます。

申請は、本人以外にも配偶者・四親等内の親族・代理人に任せて申請することも可能です。

その場合は委任状や戸籍謄本などが必要です。

郵送請求の場合

郵送請求も可能ですが、その場合は以下の東京法務局で申請しなければなりません。

〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎4階
東京法務局 民事行政部 後見登録課
電話 03-5213-1360(ダイヤルイン)03-5213-1234(代表)

 

必要なものは、窓口で必要となる

  • 申請用紙
  • 300円の収入印紙
  • 身分証明書(コピー)

に加えて返信用封筒(切手貼付)も必要です。

また、代理申請の場合は委任状なども忘れず送付しましょう。

※収入印紙は郵便局やコンビニなどでも購入できます。

取得方法の詳細はこちらの東京法務局のwebサイトで確認してください。

 

身分証明書

身分証明書とは、運転免許証や健康保険証等のことではなく、本籍地がある市区町村の役所で発行される書類のことです。

欠格要件の1つである「破産者で復権を得ない者」に該当していないことを証明する書類です。

また、「禁治産または準禁治産の宣告の通知を受けていない」「後見の登記の通知を受けていない」ことも証明します。

必要となる対象者は、個人事業主(本人)、役員と令第3条の使用人(営業所長等)です。

禁治産・準禁治産とは?

かつて、成年被後見人、成年被保佐人は禁治産者、準禁治産者と呼ばれていました。

平成12年4月1日の成年後見制度の施行により、禁治産者は成年後見人、準禁治産者は被保佐人と改まりました。

以前は現在のように後見登記等ファイルに登記されるのではなく、本人の戸籍へと直接記録されていました。そのため、成年後見制度開始前に禁治産者と準禁治産者に該当していないことを証明するには戸籍を管理する役所で証明書を発行してもらわなければなりません。

取得方法

本籍地がある市区町村の役所で発行してもらいます。

本籍がどこか分からないという場合は、本籍記載ありの住民票を取得することで確認できます。

窓口で申請をするには、本人確認書類(運転免許証等)の提示が必要です。

また、申請書には本籍と筆頭者の氏名を記載する必要があります。

手数料は市区町村役場によって異なってきますが、大体350円程度です。

代理で取得することが可能です。その場合は委任状を忘れずに提出しましょう。

郵送請求

本籍が遠方にあるという場合は郵送でも取得できます。

その場合は以下のものを同封します。

  • 申請書(市区町村役場のサイトからダウンロード)
  • 本人確認書類のコピー
  • 手数料分の定額小為替
  • 返信用封筒(宛先と切手貼り付け)
  • 委任状(代理で申請する場合)

※定額小為替は郵便局で購入できます。

納税証明書

納税証明書といえば、税務署でもらうことをイメージするかと思いますが、許可の区分によって発行機関が異なります。また、発行される納税証明書の種類も異なります。

通常は、知事許可なら都道府県税事務所、大臣許可なら税務署となります。

表にまとめる下記の通りです。

知事許可 大臣許可
法人 種類 法人事業税の納税証明書 法人税の納税証明書
機関 都道府県税事務所 税務署
個人事業主 種類 個人事業税の納税証明書 申告所得税の納税証明書
機関 都道府県税事務所 税務署

取得するのは直近の事業年度1年分の納税証明書です。

申請には、本人確認書類(運転免許証等)と印鑑が必要です。

交付手数料は400円となっています。

また、代理人に委任することもできますが、その場合は委任状等が必要です。

 

非課税の場合は?

非課税だからといって納税証明書を提出しなくてもいいというわけではありません。

例えば知事許可では、都道府県税事務所で事業税の証明書を発行してもらいますが、非課税の場合は以下の手順を踏みます。

  • 法人

→ 「納税額0円」記載の納税証明書が必要です。

  • 個人

→ 都道府県税事務所ではなく税務署にて申告所得税の納税証明書(その2)を発行してもらいます。

※摘要欄に事業所得金額の記載が必要です。(申請用紙の事業所得の欄にチェック)

 

新規開業時等の場合は?

新規開業時で決算期が未到来でそもそも納税証明書が発行できないという場合もありますが、この場合は税事務所や税務署に提出した「開業届」・「法人設立届」の写しを代わりに提出することになります。

 

未納の場合は不許可となるの?

税金を納めているかどうかは、建設業許可の要件ではないので、原則、滞納していてもそれが理由で不許可にはなりません。

ただし、都道府県の申請先によって扱いが異なることがあるので、滞納している場合は申請先に問い合わせましょう。

履歴事項全部証明書

履歴事項全部証明書は、会社に関する基本的な事項を証明する公的書類です。

いわゆる「登記簿」と呼ばれているものです。

申請者が法人の場合に必要です。

個人事業主の場合は不要ですが、支配人登記している場合などは必要になってきます。

取得方法

近くの法務局で取得できます。法務局は本局、支局、出張所どこでも取得できます。

また、手数料を納付すれば、だれでも取得できます。身分証明書(運転免許書等)などの書類も必要ありません。

手数料は600円となっています。

窓口以外にも、郵送やインターネットでの請求も可能です。

インターネットの場合は、登記・供託オンライン申請システムで必要事項を登録することによって自宅からでも申請することができます。

ただし、受付は午前8時30分から午後9時までしかできません。申請後の受け取りは、法務局で直接受け取る(手数料480円)か、郵送で受け取る(手数料500円)か好きな方を選べます。

詳しくはこちらを参照してください。

注意点

  • 役員変更など登記内容に変更があった場合、変更登記をしているか?

→ 特に重任登記は忘れがちです。役員に変更がなくても任期終了後に再び就任した場合は登記が必要です。

  • 取得予定の工事業種が事業目的に記載されているか?

→ 事業目的に許可を取得したい工事業種が記載されていないと自治体によっては受け付けてもらえないことがあります。

 

まとめ

いかがでしたか?

今回は建設業許可申請において必要となる全国共通の公的書類について解説しました。

これらの書類は郵送請求も可能ですが、通常は1~2週間程度はかかるので早めの準備が必要です。

ただし、今回紹介した書類はいずれも発行後3ヶ月以内のものが必要な点に注意しましょう。

 

また、今回紹介した公的書類以外にも確認書類、つまり、財産的基礎、社会保険の加入状況、そして、経管と専任技術者の要件を証明するものなど他にも多くの書類が必要です。

 

特に経管と専任技術者の実務経験を証明する書類集めは建設業許可申請において最も労力のかかる作業となるのでそれ相当の準備が必要です。

経管と専任技術者の要件を証明する書類については以下の記事で解説しています。

建設業許可|経営業務の管理責任者の要件を証明する確認資料は?

専任技術者の確認資料は?建設業許可申請書に添付する書類を解説