あなたは、これから建設業許可の取得を考えていてこの記事にたどり着いたのかもしれませんし、欠格要件について書籍やネットで調べてみても、独特の言い回しで言葉が難しかったり、いまいち理解ができなかったという人もいるのではないでしょうか?

経営陣が欠格要件に1つでも該当すると、建設業許可は取得できません。

この記事では、欠格要件の対象者はもちろん、初心者向けに要件の難しい言葉の意味まで解説するので、ぜひ参考にしてください。

欠格要件とは?

欠格要件の対象者

まずは欠格要件の対象者から見ていきましょう。

欠格要件の対象者は申請者本人や代表取締役だけではなく、経営に携わる人全員が対象となります。

注意点としては、平成26年に建設業法が改正されて、取締役等から役員等までが対象となったことです。

これによって、以前より許可の取得と許可取得後の維持が難しくなりました。

個人と法人の欠格要件の対象者は次のとおりです。

・個人事業主・・・本人、支配人、営業所の所長や支店長(令条使用人)

・法人・・・役員等(取締役、執行役など)、5%以上を出資している株主、営業所の所長や支店長(令条使用人)

経営に携わる者には相談役や顧問もあてはまります。ただし、監査役はあてはまりません。

 

役員から外すという考え方

少し強引ですが、仮に欠格要件に該当する人がいても、その人を経営陣から外して、代わりの人を新たに経営陣に加えるという方法があります。

欠格要件に該当しても、その人がその会社で働けないというわけではありません。

従業員として働くことももちろんできますし、意外かもしれませんが、欠格要件に該当しても専任技術者として働くこともできます。

 

建設業許可の欠格要件

建設業許可の要件は次の書類上の欠格要件と人的な欠格要件に分かれます。

書類上の欠格要件

建設業許可を申請するには、申請書や添付書類を提出する必要がありますが、この2つの書類の重要な事項に関して虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が抜けていると欠格要件に該当してしまいます。

 

人的欠格要件

前述の経営陣の1人が次の欠格要件に1つでも該当すると、建設業許可は取得できません。

・成年被後見人、被保佐人※1または破産者で復権を得ていない者※2

・不正の手段で許可を受けたこと、営業停止処分を受けたことなどにより、建設業の許可を取り消された日から5年を経過していない者

・建設業許可の取り消しを免れるために廃業届をしてから5年を経過しない者

・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたこと、または請負契約に関し不誠実な行為をしたことなどにより営業の停止命令を命ぜられ、その停止の期間が経過しないもの

・禁固以上の刑※3に処せられ、その刑の執行が終わり、またはその刑を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

・建設業法や一定の法令※4に違反し、罰金刑処せられ、その刑の執行が終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

・暴力団員や暴力団員でなくなってから5年経過していない者

・暴力団員がその事業活動を支配されている者

 

※太字の部分は平成27年の改正で追加になった欠格要件です。

 

※1成年被後見人、被保佐人

センシティブな話になってしまいますが、成年被後見人、被保佐人とは知的障害や精神障害により判断能力を欠く人のことです。

また、成年被後見人と被保佐人家庭裁判所で後見開始の審判を受けないとなり得ません。

 

※2破産者で復権を得ていない者

破産者で復権と得ない者とは自己破産の経験があるという意味ではありません。

自己破産の経験があっても複権を得ていれば大丈夫です。

復権はすぐに得ることができますし、また復権を得てさえいれば、例えブラックリストに載っていても大丈夫です。

 

※3禁固以上の刑

禁固以上の刑とは、刑務所に入って服役をすることで、「死刑」、「懲役」、「禁固」のことを指します。

「懲役」と「禁固」の違いは、労働の義務があるかどうかです。

「懲役」には労働の義務がありますが、「禁固」の場合はありません。

 

※4一定の法令

・建築基準法、都市計画法、労働基準法、職業安定法、労働派遣法など

・刑法・・・傷害罪、暴行罪、脅迫罪など

・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

・暴力行為等処罰に関する法律

 

よくある疑問

執行猶予について

執行猶予期間中は欠格要件に該当してしまいますが、執行猶予期間が満了さえすれば問題ありません。

また、執行猶予の場合は期間が満了しても5年を経過する必要はありません。

交通違反について

駐車禁止や速度の出し過ぎといった軽い交通違反で反則金を支払った場合は建設業法関連の罰金刑ではないので問題ありません。

ただし、期日を過ぎても支払わず放置し続けたなど悪質な場合は罰金刑に該当する可能性が高くなります。

 

まとめ

いかがでしたか?

自分の会社には関係ないと思う人も多いと思いますが、実は信頼していた経営陣の一人が建設業法関連で違反をしてしまっていたということも十分にあり得えることです。役員が複数いる場合は必ず経歴を一人ずつ確認してください。

また、平成27年の改正で暴力団に関する欠格要件が追加され、暴力団、暴力団との関係を徹底的に排除することになりました。

誠実性の要件と同様、許可取得後に欠格要件に該当してしまうと、その時点で許可の取消処分を受けることになりますし、その会社は5年間許可が取得できないので注意が必要です。