通常、軽微な工事 = 500万円以下の工事を請負う場合、建設業の許可は必要ありません。
また、工事をするのに資格等が特に必要というわけではありません。
しかし、解体工事を請負う場合は、500万円以下の工事でも、「建設リサイクル法」に基づく解体工事業の登録が必要になります。
注意点としては、平成28年6月から建設業の許可業種に「解体工事業」が追加されましたが、これによって、解体工事の登録制度がなくなったということではありません。
500万円以下の解体工事を請負う場合、必ず「解体工事業の登録」を受けなければなりません。
この記事では、解体工事業の登録制度を中心に解説しています。また、建設業許可との違いも併せて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
解体工事業の登録と建設業の許可
解体工事を施工するには、元請、下請を問わず、工事の規模によって、「解体工事業の登録」もしくは「建設業の許可」どちらかが必ず必要になります。
つまり、元請が実際に施工せずに、下請が施行する場合(元請が解体工事に間接的に携わる場合)でも、「許可」もしくは「登録」が元請・下請の両者に必要になります。
※請負金額500万円以上の解体工事を行うには、「解体工事業」、「土木工事業」、「建設工事業」の業種で建設業の許可を受けている必要があります。
解体工事業の登録と建設業の許可の違い
それぞれの特徴を見てみましょう。
解体工事業の登録について
解体工事業の登録制度は、建設リサイクル法が根拠となっています。
請負金額500万円(税込)以下の解体工事しか請負うことができません。
登録は、解体工事を行う区域の都道府県知事ごとに受けなければなりません。
例えば、兵庫県と大阪府で解体工事を行うには、兵庫県知事と大阪府知事の両方の登録が必要になります。
比較的小規模の企業が取得することになります。
登録の有効期間は5年です。
建設業許可について
建設業の許可制度は、建設業法が根拠となっています。
請負金額500万円以上の解体工事でも請負うことができます。
許可は、営業所のある都道府県ごとに取得します。
例えば、営業所のある兵庫県で許可を取得すれば、全国どこでも工事が可能です。
中規模以上の企業が取得することになります。
許可の有効期間は5年です。
解体工事業の登録の要件について
解体工事業の登録を受けるには、次の2つの要件を満たす必要があります。
・基準を満たしている技術管理者を配置する
・登録の拒否事由に該当していないこと
1つずつ見ていきましょう。
技術管理者を配置する
解体工事業者の登録を受けるには、工事現場における解体工事の施工上の技術管理者を配置する必要があります。
この技術管理者は、誰でもなれるわけではなく、国土交通省令で定める要件に適合した者でなければなりません。
この要件は都道府県によって異なります。この記事では、兵庫県の技術管理者の要件を紹介しますが、他の都道府県の場合は必ずそれぞれのホームページなどで確認してください。
技術管理者の登録要件は、実務経験か資格のどちらかで満たす必要があります。
実務経験で要件を満たす場合
次のいずれかの経験が必要です。
・土木工学等を履修した大学卒又は高専卒の者・・・・解体工事に関して2年以上の実務経験
→ (公社)全国解体工事業団体連合会が実施する解体工事施工技術講習(以下、講習)を受けた者は1年以上の実務経験
・土木工学等を履修した高校卒の者・・・・解体工事に関して4年以上の実務経験
→ 講習を受けた者は3年以上の実務経験
・上記以外の者・・・・解体工事に関して8年以上の実務経験
→ 講習を受けた者は7年以上の実務経験
※土木工学等とは、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、建築学、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科を指します。
※(公社)全国解体工事業団体連合会
東京都中央区八丁堀4-1-3(電話番号03-3555-2196)
資格で要件を満たす場合
次のいずれかの資格が必要です
建設業法による技術検定
・1級建設機械施工
・2級建設機械施工(第1種又は第2種に限る)
・1級土木施工管理
・2級土木施工管理(土木に限る)
・1級建築施工管理
・2級建築施工管理(建築又は躯体に限る)
技術士法による第2次試験
・技術士(建設部門)
建 築 士 法
・1級建築士
・2級建築士
職業能力開発促進法による技能検定
・1級とび・とび工
・2級とび + 解体工事の実務経験1年以上
・2級とび工 + 解体工事の実務経験1年以上
民 間 試 験 合 格 者
・解体工事施工技士試験 → (公社)全国解体工事業団体連合会が実施
※(公社)全国解体工事業団体連合会
東京都中央区八丁堀4-1-3(電話番号03-3555-2196)
登録の拒否事由に該当していないこと
拒否事由について見ていきましょう。
次のいずれにも該当していないことが必要です。
1、解体工事業の登録を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しない者
2、解体工事業の登録を取り消された法人において、その処分のあった日前30日以内にその解体工事業者の役員であった者でその処分のあった日から2年を経過しないもの
3、解体工事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
4、法又は法に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
5、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
(9において「暴力団員等」という。)
6、解体工事業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法人である場合にあっては、当該法人及びその役員)が1~5又は7のいずれかに該当するもの
7、法人でその役員のうちに1~5までのいずれかに該当する者があるもの
8、法第31条に規定する者(技術管理者)を選任していない者
9、暴力団員等がその事業活動を支配する者
登録完了後は建設リサイクル法に注意
登録完了後、一定規模以上の解体工事を行う場合、建設リサイクル法によっていくつかの義務が課されることになります。
簡単に言うと、建設廃棄物の分別とリサイクルが義務づけられるようになります。
私は、行政書士として建設業法だけでなく、廃棄物処理法も専門としており、廃棄物処理法に関するホームページを運営しています。
このホームページでは産廃業者に必要な知識はもちろん、廃棄物処理法の知識を中心に様々な情報を発信しています。
以下の記事は、建設リサイクル法に関する記事です。解体工事業者にとって、この建設リサイクル法の知識は必須ですので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
解体工事を行うには、建設リサイクル法に基づく「解体工事業の登録」が必要になります。
すでに「解体工事業」または「とび・土工工事業」、「土木工事業」、「建設工事業」の業種で建設業の許可を受けていれば、解体工事業の登録は必要ありません。
また、建設業の許可は500万円以上の解体工事を行う際に必要になります。
ただし、複数の都道府県にまたがって広範囲で解体工事業を展開していくのなら、あらかじめ建設業許可を取得しておくのも1つです。
前述のとおり、営業所のある都道府県で許可を1つ取得すれば、全国どこでも工事が可能だからです。
建設業許可を取得するには5つの要件を満たさなければなりません。許可の取得を考えている人は以下の記事を参考にしてしてください。
兵庫県の建設業許可|7分で理解できる許可取得のための5つの要件