おそらく、あなたは建設業許可の取得を考えていて決算変更届というものを知ったか、もしくは、すでに許可を取得しており、これから決算変更届をしなければならないのではないでしょうか?
決算変更届は毎年、税務署に提出する決算報告書とは別物です。
この決算変更届は、毎年必ず提出しなければならない書類ですが、など提出するにあたっていくつか疑問が生じますよね。
ex.
「提出はいつまで?期限は?」
「納税証明書や工事経歴書などの必要書類は?」
この記事ではこのような決算変更届によくありがちな疑問を中心に、決算変更届の作成のポイントまで解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
決算変更届とは?
決算変更届とは、毎事業年度終了後4か月以内に、提出しなければなりません。
毎年、事業者は決算報告書を税務署に提出しますが、この決算報告書を基に決算変更届を作成することになります。
この決算変更届は、発注者に工事業者の最新情報を広く公開することが目的です。
決算変更届というと、申請書1枚をイメージされると思いますが、実際は業者の技術情報である「工事経歴書」と経営情報である「財務諸表」を中心に、色々な書類をまとめて提出する必要があります。
決算変更届には次の書類が必要です。
・変更届出書
・工事経歴書
・直前3年の各事業年度の工事施工金額
・財務諸表(貸借対照表、損益計算書)
・注記表
・附属明細表
・株主資本等変動計算書
・納税証明書
・事業報告書
個人事業主及び特例有限会社は事業報告書を添付する必要はありません。
変更があった場合に提出する書類
次の書類は変更がある場合のみ必要になります。
・使用人数(様式 第4号)
・建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)
・定款
・国家資格者等・監理技術者一覧表
※兵庫県の場合は、国家資格者等・監理技術者一覧表を提出する際、場合によっては次の書類が必要になります。
- 資格証明書
- 卒業証明書
- 監理技術者資格者証等
決算変更届は義務ではなくアピール・広告の機会
決算変更届というと、どうしても義務のように捉えがちです。
しかし、決算変更届の目的は、発注者が工事業者の最新情報を閲覧できるようにするためです。
発注者は建設業者の技術情報である「工事経歴書」と経営情報である「財務諸表」を詳しく確認できるようになります。それだけに、技術情報である「工事経歴書」はアピール・広告の場として絶好の機会といえます。
この工事経歴書には過去の実績や自社の能力を詳細に記載します。
特に、自社の強みは何なのかを強く意識して記載することが重要です。
例えば、得意とする特定の工法や技術はあるのか、工事の規模は大型、小規模どちらが主なのか、発注者はどういうところが多いのか詳細に記載するようにします。
提出時期について
決算変更届の提出期限は、毎事業年度終了後4か月以内です。
「4カ月もあるの?」と思われるかもしれませんが、実際はかなりきつきつのスケジュールになります。
この決算変更届は、税務署に提出する決算報告書をもとに作成します。
決算報告書に使う期間は通常、2、3カ月ですので、決算変更届に使える期間は、実質1、2カ月しかありません。
先を見越しての早めの対策が必要です。
決算変更届を提出しないとどうなる?
決算変更届を提出しないと次のようなデメリットが生じます。
1、建設業許可の更新手続きができない
建設業許可の更新は、5年分の決算変更届を提出しないとできません。
これが何よりも困ってしまうのではないでしょうか。
2、業種追加の申請ができない
これも非常に困ってしまうデメリットの1つです。
3、建設業法による罰則が科される
決算変更届を提出していないと、6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
4、経営事項審査を受けることができない
経営事項審査は決算変更届を提出しないと受けることができません。
提出先は?
決算変更届の提出先は都道府県でそれぞれ異なりますが、ここでは兵庫県を例に解説します。
知事許可の場合
知事許可業者の場合は、許可申請をした窓口に提出します。
兵庫県では営業所の所在地を所管する施設の土木事務所となります。
例:兵庫県神戸市の場合
大臣許可の場合
大臣許可の場合も許可申請をした窓口に提出します。
大臣許可申請は、主たる営業所(本社や本店など)の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局長に申請しましたよね。
兵庫県の場合は、兵庫県県土整備部県土企画局総務課建設業室で提出することになります。
兵庫県県土整備部県土企画局総務課建設業室
〒650-8567
神戸市中央区下山手通5-10-1(県庁1号館11階)
078-341-7711(代表) 内線4575/4576
まとめ
建設業許可を取得すると、毎年必ず決算変更届を提出しなければなりません。
決算変更届の目的は発注者に建設業者の情報を公開するためです。
決算変更届の提出を単に義務として捉えるのではなく、その情報を発注者が閲覧する以上、建設業者にとってはアピールの絶好のチャンスだということをお話ししました。
この決算変更届の提出を怠ると、建設業許可の更新・業種追加の申請ができません。
また、取引先が決算変更届の最新情報を閲覧することもあります。最新情報が閲覧できないとなると、きっちり管理が行き届いていないというイメージをもたれますし、信用を落としかねません。
なかには、5年分を一括で提出するという人もいるかもしれませんが、5年分の書類を一気に集めるというのは予想以上に大変です。
また、納税証明書は直近3年分しか発行されないので、その時点で2年分の納税証明書が集められないということになるので、注意が必要です。