電気工事業を営むには、解体工事業のように登録が必要になってきます。また、500万円以上の工事を施工するには、当然のことながら電気工事の建設業の許可が必要になります。
解体工事業と違うところは、許可を受けても登録が必要な点です。
ただし、電気工事業の登録を受けなくても、電気工事業の許可は取得できます。
電気工事業の場合は、このあたりが複雑なのですが、許可を取っても登録をしていなければ自社で工事を施工することができません。
つまり、500万円以上の工事を自社で施工するには、許可と登録の両方が必要になるということです。
この記事では、電気工事業の登録と許可の関連性について解説しています。また、電気工事業の登録方法も併せて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
電気工事を施工するには登録が必要
法律で定められた電気工事を行うには「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づいての登録が必要になります。
登録が必要な工事を大まかに言えば、一般用電気工作物と自家用電気工作物の電気工事に分かれます。
一般用電気工作物・・・600V以下の低圧の電気を使用する一般家屋、商店、50kW未満の小工場など
自家用電気工作物・・・自家用電気工作物のうち、最大出力500kW未満の需要設備
電気工事士の資格が必要
電気工事業の登録が必要な工事を行うには、種類や規模によって次のいずれかの資格が必要です。
- 第1種電気工事士
- 第2種電気工事士
第1種電気工事士
一般用電気工作物と自家用電気工作物にかかる電気工事を施工できます。
また、特殊電気工事(ネオン工事や非常用予備発電装置工事)については、別に特殊電気工事従事者の認定証を受けると施工できます。
第2種電気工事士
一般用電気工作物にかかる電気工事のみ施工できます。
第1種電気工事士と違い、自家用電気工作物にかかる電気工事は施工できません。
営業所に主任電気工事士が必要
登録電気工事業を営むには、その営業所に主任電気工事士を置く必要があります。
この主任電気工事士になるには、前述の第1種電気工事士もしくは第2種電気工事士の資格が必要になります。
ただし、第2種電気工事士については、第2種電気工事士の免状の交付後、電気工事に関し3年以上の実務経験が必要になります。
登録区分について
登録電気工事業者は、次の4つに分類されます。
- 登録電気工事業者
- みなし登録電気工事業者
- 通知電気工事業者
- みなし通知電気工事業者
この区分は、工事の規模や建設業許可を所有しているかどうかで異なってきます。
登録電気工事業者
建設業許可を取得していない電気工事業者で、一般用電気工作物と自家用電気工作物にかかる電気工事を施工します。
申請先は?
電気工事業の登録は、営業所所在地の都道府県知事で行います。※兵庫県の場合は企画県民部災害対策局産業保安課です。
複数の都道府県に営業所がある場合は、経済産業省で登録を行います。
※新規申請の手数料は、兵庫県であれば22000円です。
必要書類
以下の書類が必要です。
・登録電気工事業者更新登録申請書・誓約書
・主任電気工事士等の電気工事士免状の写し
・主任電気工事士の誓約書
・主任電気工事士の雇証明書(従業員の場合必要)
・主任電気工事士の在職証明書(代表者以外の役員の場合必要)
・主任電気工事士の実務経験証明書(第2種電気工事士の場合のみ。第1種電気工事士の場合不要)
※法人の場合は、添付書類として登記簿謄本が必要になります。
更新が必要
電気工事業の登録の有効期間は5年です。登録証に記載されている日までに更新しなければなりません。
申請先は、新規申請と同じです。また、更新申請の際には、新規申請で提出した同じ書類が必要になります。
※更新申請の手数料は、兵庫県であれば12000円です。
みなし登録電気工事業者
みなし登録電気工事業者とは、電気工事業の建設業許可を取得しており、一般用電気工作物と自家用電気工作物にかかる電気工事を施工する工事業者のことです。
電気工事業の建設業許可を取得していても、電気工事業の登録を受けないと上記の電気工事は施工できません。
届け出先は、上記の電気工事業の登録の申請先と同じです。※手数料は無料です。
必要書類
以下の書類が必要です。
・電気工事業開始届出書
・主任電気工事士等の電気工事士免状の写し
・主任電気工事士の誓約書
・主任電気工事士の雇証明書(従業員の場合必要)
・主任電気工事士の在職証明書(代表者以外の役員の場合必要)
・主任電気工事士の実務経験証明書(第2種電気工事士の場合のみ。第1種電気工事士の場合不要)
・建設業の許可通知書の写し
更新は?
みなし登録電気工事業者の更新手続きは、建設業許可の更新手続きと連動しています。
建設業の許可更新が完了した際に、電気工事業にかかる変更届を提出することになります。
つまり、建設業許可の更新手続きと連動しているので、登録の方は更新手続きが必要ありません。許可通知書が届いたら、すみやかに変更届を提出します。
通知電気工事業者とみなし通知電気工事業者
一般用電気工作物にかかる電気工事のみを施工する際は通知書の提出が必要になります。
提出先は、登録電気工事業者の申請先と同じで、事業を開始する10日前までに提出します。※手数料は無料です。
有効期間はないので、更新手続きは必要ありません。また、通知電気工事業者の場合は、営業所に主任電気工事士を置く必要はありません。
※登録電気工事業者のときと同様、許可を持っていれば、みなし通知電気工事業者となります。
必要書類
通知電気工事業者
・電気工事業開始通知書
・通知者の誓約書
※法人の場合は登記簿謄本
通知電気工事業者
・電気工事業開始通知書
・建設業の許可通知書の写し
まとめ
いかがでしたか?
人が法律で定められた電気工事を行うには、電気工事士の資格が必要です。
また、電気工事業を営むには、電気工事業の登録を受ける必要がありますが、営業所に主任電気工事士を配置しなければなりません。
そして、電気工事業の建設業許可を取得しても、電気工事業の登録を受けていなければ、電気工事は施工できません。
それだけに、電気工事を行うにはまずは電気工事業の登録が必須、もっと細かく言えば、電気工事士の資格を持つ人材が不可欠だということを押さえてください。