経営事項審査では、工事実績等(完成工事高や技術力など)が数値によって評価されますが、この工事実績=工事の内容や技術者の雇用形態が特殊なケースに該当することがあります。

例えば、複数の企業が共同して行う、いわゆるJVで施工した特殊な工事もありますし、技術者の雇用に関しても出向社員や派遣社員などいくつかの雇用形態がありますよね。

このような場合、経営事項審査においてどのように評価されるのでしょうか?

この記事では、特殊な工事実績等が経営事項審査においてどのように評価されるのか詳しく解説しています。また、経営事項審査で評価されないケースも併せて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

共同企業体(JV)で施工した工事

共同企業体(JV)で施工した工事については、完成工事高と工事成績に反映されます。

完成工事高

完成工事高については、甲型(共同施工方式)と乙型(分担施工方式)によって算出方法が異なってきます。

 

甲型(共同施工方式)・・・工事請負代金に各構成企業の出資割合を乗じた額

10億円の建設工事

甲型JV A社の実績 B社の実績 C社の実績
出資比率 40% 35% 25%
完成工事高 4億円 3.5億円 2.5億円

 

乙型(分担施工方式)・・・当該JVの運営委員会で定めた各構成企業の分担工事の額

10億円の建設工事

乙型JV A社の実績 B社の実績 C社の実績
分担工事額 4億円 3.5億円 2.5億円
完成工事高 4億円 3.5億円 2.5億円

 

工事成績

工事成績については、以下の規定があります。

工事成績については、共同企業体により施工した工事についてそれを工事全体について評価するときは、甲型、乙型いずれの場合も、それをもって当該共同企業体構成員各自の工事成績として取り扱い得るものとする。

「共同企業体の事務取扱いについて」昭和53年3月20日付建設省計振発第11号

つまり、出資比率、分担工事額にかかわらず、共同企業体により施工した工事全体の評価がそのまま、各構成企業の成績として反映されるということです。

 

出向社員である技術者

経営事項審査において技術力の評価基準は、技術職員数とその職員が有する資格をもとに設定されています。

経審で認められる技術職員は以下の資格が必要です。

  • 1級技術者(監理技術者資格者証保持+監理技術者講習受講者)
  • 1級技術者(上記以外の1級技術者)
  • 2級技術者
  • 基幹技術者(登録基幹技術者講習修了者)
  • その他の技術者(10年間実務経験や一定の民間資格保有者など)

 

上記の資格を所持しており、さらに建設業者と審査基準日以前に6カ月以上の恒常的な雇用関係・常時雇用がされている必要があります。

恒常的な雇用関係とは、勤務先に一定の期間にわたり勤務し、毎日(休日を除く)一定時間以上の勤務をすることをいいます。

また、常時雇用というからには、一つの工事期間だけ短期雇用するなど、期間限定で雇用をすることは認められません。

 

出向社員は認められるの?

他の企業からの出向社員については、出向先と審査基準日以前に6カ月以上の恒常的な雇用関係・常時雇用(出向期間が限定されていない)がされていれば、出向先の建設業者において評点が加算されます。(出向元では加算されません)

ただし、派遣社員や外注扱いとなっている技術職員は加点対象となりません。

ちなみに、工事現場に配置する主任技術者や監理技術者については出向社員として配置することはできません。これは、直接的かつ恒常的な雇用関係が必要とされているからです。

※営業所に配置する専任技術者は出向社員でも配置することができます。

主任技術者・監理技術者の雇用関係についてはこちらの主任技術者・監理技術者の雇用関係とその特例を解説で詳しく解説しています。

 

 

完成工事高に計上されない実績は?

業務や工事の内容によっては、完成売上高に計上されないことがあります。

次の2つについては完成工事高には計上されません。

  • 維持修繕や保守点検
  • 一括下請けした工事

 

維持修繕や保守点検

建設工事に該当しなければ、完成工事高には計上できません。

単なる「定期点検」や「保守点検」などは建設工事に該当しないので、完成工事高には計上できません。

ただし、建設業法24条で以下のように規定しています。

「委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を目的としてする契約は、建設工事の請負契約とみなす。」

つまり、契約の名称が「定期点検」や「保守点検」となっていても、建設工事の完成を目的とするもの、例えば「内装や配線、配管の変更などの工事が伴う場合」や「道路や水道の維持修繕をする場合でも、補修について建設工事が伴う場合」は完成工事高に計上されます。

 

一括下請けした工事

一括下請負をした場合は、工事の施工に関しては実質的に関与していないので、完成売上高には計上されません。

※一括下請負は、原則禁止されています。一括下請負についてはこちらの建設業法|一括下請負禁止の理由は?判断基準から例外規定まで解説で詳しく解説しています。

 

まとめ

いかがでしたか?

この記事では、主に共同企業体(JV)で施工した工事実績と技術者の雇用関係が経営事項審査でどのように評価されるのかを解説しました。

経営事項審査においては、完成工事高と技術力のウエイトは非常に高くなっています。

特に技術力については、評点アップはともかく、公共工事の受注件数は技術者の数に比例するといえるので、技術者をどれだけ確保できるかどうかは非常に大きな意味を持ちます。

また、「維持修繕や保守点検」の業務については、完成工事高には計上されないということもお話ししましたが、契約の名称が「維持修繕や保守点検」に該当しても建設工事の完成を目的としていれば、完成工事高に計上されることにも留意してください。