建設業許可は500万円以上の工事を施工する際に必ず必要になります。
無許可で500万円以上の工事を行うと、建設業法に違反してしまいます。
この記事を読んでいる人の状況は様々だと思います。おもに次のような疑問があるのではないでしょうか?
・自分の建設工事に本当に許可は必要なのか?
・元請から許可を取るように言われた
・500万円以上の工事はたまにしか行わない
・建設業許可の必要性について知りたい
この記事では、様々な観点から建設業許可の必要性について、考察・解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
なぜ建設業許可が必要なのか?
建設業は他の産業に比べて、特殊な産業です。
それは一件あたりの受注金額が大きく、手抜き工事などの建物の欠陥は素人目ではなかなか見抜くことができませんし、数年後に、建物の欠陥を発見したということもざらにあります。
こういったことに対処するために、建設業許可があります。
建設業許可の目的は適正な工事の確保と発注者の保護です。
まず、この適正な工事の施工を確保するには、技術力がしっかりしていなければなりません。
これは営業所に置く専任技術者の要件を満たすことで、確保できます。この専任技術者は一定の資格や経験がないとなれないからです。
また、建設業の特性として、建設業者は建物が出来上がった後も、数年間は建造物の欠陥責任を持ちます。これを瑕疵担保責任といいます。
つまり、施工業者は完成後も数年間は不具合や欠陥が見つかった場合、修理をする義務があるので、発注者としては施工業者に簡単に倒産してもらっては困りますよね。
そこで、建設業許可は財産的基礎要件(=十分な資本力がある)、経営業務の管理責任者の要件(=優れた経営者がいる)をそれぞれ満たすことを定めています。
また、これは大前提ですが、手抜き工事など不正・不誠実な行為をしないために、経営陣の人間性に問題がないことが必要です。そのため、建設業許可は誠実性の要件と欠格の要件を定めています。
建設業許可を取得すると、上記の要件=一定の基準を満たしていることになるので、手抜き工事や倒産を未然に防ぎ、発注者を保護することができます。
建設業許可が必要なケース
建設業許可は主に次の2つケースで取得することになります。
500万円以上の工事を施工する場合
1件の工事の請負代金が、500万円以上になる場合、建設業許可が必要になります。
この500万円の代金は消費税込みで、材料費も含まれます。
また、建設業許可は元請・下請け問わず必要で、建設業の29業種に該当すれば、請け負う業種ごとに必要になります。
建築一式工事の場合
建築一式工事は、請負代金が1500万円以上になる場合、または延べ面積が150m2以上になる木造住宅の場合に必要になります。
また、延べ面積が150m2に満たない木造住宅でも、2分の1以上を店舗に使用する場合は許可が必要になります。
元請からの要望など外的要因によるもの
500万円以上の工事を請負わない場合でも、元請から許可を取るように求められたり、営業活動を有利にするために取得するケースがあります。
例えば、請負金額が500万円未満でも、後で工事が追加で発生して結果的に500万円になってしまえば、許可がないと受注を見逃してしまいます。
また、500万円未満の工事でも、同じ能力の建設業者がいれば、元請業者はやはり許可を持っている業者に依頼したいのが人情です。
このように考えれば、許可があると営業活動に幅が出るということです。
なぜ元請は許可の取得を求めてくるのか?
元請業者が下請業者を選定する基準として、たとえ許可が必要のない軽微な工事でも許可を有していることを条件とする傾向が強くなってきています。
またなかには、許可を持っていないのに、500万円以上の工事を請負っている下請業者もいますが、このような場合、元請業者は下請業者に許可を取ることを指導しなければなりません。
これは建設業法で定められています。
指導しないとペナルティーを受けますし、指導しても改善されない場合は、今度は元請業者が指導の対象になってきます。
こういうリスクを気にしながら、仕事をするのはやはりストレスになりますし、建設業の許可を持っている下請業者を選ぶというのは必然だと言えます。
まとめ
建設業許可を取得すると、技術力がしっかりしている=専任技術者の要件、十分な資本力がある=財産的基礎要件、優れた経営者がいる=経営業務の管理責任者の要件、人間性に問題がない=誠実性の要件・欠格要件を満たすことになり、一定の水準に達していることを証明できます。
これによって、発注者は、建設業者の選定基準を持つことができますので、安心して建設業者を選ぶことができます。
また、建設業許可が必要となるケースは人によって様々です。
極論を言えば、例えば工事自体が小規模なものでも、材料費(機械設備などで)が高くつけば、トータルで500万円を超してしまい、許可が必要になることもあります。
例え大規模な工事が年に数回だけだとしても、それが500万円を超えていれば、やはり建設業許可は必要になります。
また、ひとつの工事について、500万円未満となるように工期を分けて注文書を作成しても、最終的にはその合計額で判断されるので、やはり許可は必要です。