建設業許可の有効期間は5年間です。

引き続き許可を持続したい場合は、有効期間が満了する前に更新手続きが必要です。

建設業許可の更新手続きをいざするとなると、いつから更新手続きを始めたらいいのか、また手数料がいくらかなのかも気になりますよね。

また、単に手続きをすればいいというものではなく、事前に決算変更届の提出や要件を満たしておかなければなりません。

この記事では、更新手続きを行う上で、よくありがちな疑問を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

有効期間&更新申請の期限は?

建設業許可の有効期間は5年です。

厳密に言うと、許可を取得した日から5年後の前日です。許可取得日が8月1日ですと、5年後の7月31日までとなります。

ちなみに有効期間は許可通知書に記載されています。

そして、更新申請は有効期間の満了する日の30日前までにしなければなりません。

 

30日前までを過ぎてしまったら?

30日前を過ぎても、許可の有効期間内なら更新申請はできます

ただし、有効期間が切れると、どのような理由があっても更新はできません。

この場合、改めて新規申請をすることになるので、余計な手間と費用がかかってしまいますし、無許可状態となるので、その間は500万円以上の工事を行うことができません。

更新申請をしても、審査の途中で、許可の有効期間が満了してしまうことがあります。

これは30日前を過ぎてから更新申請をするとよくあることです。

しかし、このような場合でも、従前の許可の効力は切れることがなく、審査が終了するまでの間は有効です。

 

更新手続きに必要な義務と要件

更新手続きは単に申請をすればいいといものではなく、事前に義務や要件を満たしておかなければなりません。

これができていないと更新は受理されません。

更新申請に必要な遵守事項は次の4つです。

1、毎年、決算変更届を提出していること(5年分必要)

2、変更届を提出している(変更があった場合)

3、専任技術者と経営業務の管理責任者の要件を満たせているか

4、社会保険に加入しているか

 

決算変更届を提出していること

建設業許可を取得すると、毎事業年度終了後、4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。

更新申請をするには、条件としてこの決算変更届を毎年提出している必要があります。

有効期間は5年ですので、5年分必要になります。

この決算変更届は申請用紙1枚でななく、まとまった書類が必要となるので、更新時期が近づいてくると、忙しくて更新手続きに間に合わなくなる可能性があります。

余裕を持って準備をしたいところです。

決算変更届についてはこちらの決算変更届とは?提出期限や必要書類などありがちな疑問を解説で詳しく解説しています。

 

変更届を提出している(変更があった場合)

建設業許可を取得した後に、商号や資本金の額が変わったりなど、重要な事項が変更になることはよくありますよね。

このような重要な事項に変更があれば、変更届を提出しなければなりません。

この変更届も決算変更届と同様、提出していないと更新申請は受け付けてもらえません。

また、法人の場合はこの変更届とは別に、法務局へ変更登記をしなければなりません。

変更届は、変更事項の種類によって提出期限が決められています。

具体的には次のとおりです。

変更後30日以内に提出

・商号

・営業所に関する情報

・資本金の額

・役員に関する情報

・支配人に関する情報

変更後2週間以内に提出

・経営業務の管理責任者に関する情報

・専任技術者に関する情報

・令3条の使用人に関する情報

事業年度終了後4ヶ月以内に提出が必要

・監理技術者に関する情報

変更届と決算変更届ともに提出期限が決められていますが、期限が過ぎたからといって提出できないわけではありません。

例えば、決算変更届の場合ですと、5年分まとめて提出することもできます。

ただし、期間分をまとめて提出するというのは、想像以上に大変ですし、更新時期とかぶれば忙しくて対処できずに更新ができなくなってしまいます。

やはり、時間的余裕をもって準備をしたいところです。

 

専任技術者と経営業務の管理責任者の要件を満たせているか

更新申請では、人的要件のみ、満たせているか審査されます。

人的要件とは、専任技術者と経営業務管理責任者の要件のことです。

人事異動で、専任技術者や経営業務の管理責任者が入れ替わっていたということもあるかと思います。

うっかり、「要件を満たせていなかった」ということがないように、今一度、要件や常勤性を確認してください。

 

社会保険に加入しているか

社会保険への加入は更新申請の要件ではありませんが、そのうちすべての建設業者が加入するように義務付けられるようになります。

そうなると、近い将来、更新申請の要件になってきますし、現時点でも更新の際に未加入だと指導対象となります。

指導を受けて、仮に加入しなくても許可の更新はできますが、行政処分をされることがあるので注意が必要です。

 

その他の疑問

手数料は?

知事許可も大臣許可も5万円です。

ちなみに新規申請の場合だと、知事許可で9万円、大臣許可で15万円になります。

 

財産的要件は確認されないの?

更新申請では財産的要件は審査されません。

これは、毎年提出する決算変更届で確認できるからです。

ちなみに財産的要件は、500万円以上の資本金または500万円以上の預金残高が必要でしたが、更新時にこれを下回っていても大丈夫です。

極端に言えば、更新時に赤字経営に陥っていても更新には問題ありません。

※特定建設業許可の場合は、財産的要件を満たさなければなりません。

 

まとめ&注意点

建設業許可の有効期間は5年間です。

この有効期間満了の30日前までに更新申請をしなければいけません。

更新申請をするには変更届や人的要件など遵守事項を満たす必要があります。

また、有効期間満了の30日前を過ぎても、更新申請はできますが、窓口によっては追加で書類が求められることがありますし、審査の途中で、許可の有効期間が満了してしまうこともあります。

もちろんこの場合、審査が終了するまで許可は有効ですが、その間に工事を請け負うとなると、発注者に有効期限の切れた許可通知書の写し(実際は有効)を提出することになるので、説明を要するなどの手間が生じてしまいますよね。

注意点としては、有効期間の満了日が土日など休日になっている場合です。窓口は平日しか開いていないので、その直前の平日が最終の申請期限になります。

土日明けの次の平日まで申請期限が伸びるというような便宜は図ってくれないので注意が必要です。

このように考えると、更新申請は早ければ早いほどいいでしょう。通常、更新申請は有効期間の満了日の90日前から受け付けてもらえるので、早めの対応を心がけてください。