法人として建設業許可を取得するには、まず会社を設立をしてから、許可を取得しなければなりません。

先に許可を取得してしまうと、個人事業主として許可を取得したことになってしまいます。

また、許可の取得を前提に会社を設立するにはいくつか注意しなければならないことがあります。

それは、建設業許可の取得に合わせた、建設業許可用にカスタマイズした会社の設立です。

ここをよく見過ごしている事業者が多く、後で変更登記が必要になったり、余分に書類が必要になったりと、余計な手間とコストがかかってしまいます。

この記事では、建設業許可の取得と会社の設立を同時に行うときの3つのポイントを解説しています。この3つのポイントを押さえれば、建設業許可の取得までスムーズにいくので、ぜひ参考にしてください。

 

※すでに個人で建設業許可を受けていて法人成りを検討している人はこちらの建設業許可|個人事業主から法人成りをするときに必ず気をつけたいポイントがおすすめです。

会社を設立する際の3つのポイント

建設業許可の取得を前提に会社を設立するには、次の3つのポイントに注意すれば、許可の取得までスムーズにいきます。

経営業務の管理責任が役員の中に1人いる

経営業務の管理責任者は、許可の重要な要件です。

経営業務の管理責任者の要件を満たす人が最低1人、役員登記されていなければなりません。

世代交代を見据えた役員登記の必要性

経営業務の管理責任者の要件は「許可を受ける工事業種で、5年の役員経験がなければなりません。(許可を受ける工事業種以外では7年)」

代表者などが要件を満たす人が1人しかいないと、その人が死亡したりするなど、緊急の場合に許可を失効してしまいます。

要件を満たす人を外部から招き入れるのもいいのですが、家族や親族など後継者として、役員登記をしておくのが理想です。

 

財産的基礎要件を満たしているか

会社を設立するには「資本金1円」でも設立可能です。

だからといって、資本金が何円でもいいとうわけではありません。

それは、一般と特定の建設業許可で、それぞれ財産的基礎要件が定められているからです。

一般建設業許可の場合

500万円以上の財産的基礎または金銭的信用があることが必要です。

ポイントとしては、設立時の資本金を500万円以上にして設立すれば、許可申請の際に残高証明書等を提出する必要がなくなります。

この残高証明書は代表名義の銀行口座ではなく、法人名義の銀行口座が必要になります。

新設法人の場合、新たに法人名義の口座を開設することになりますが、開設の審査に時間がかかることも多く、許可申請がスムーズにいかないこともよくあります。

特定建設業許可の場合

資本金2000万円以上、かつ自己資本4000万円以上が条件になります。

ただし、自己資本というのは、資本金+これまでの利益の総額です。新設法人の場合は決算期が到来していないので、利益という概念はありませんよね。

つまり、「自己資本」は、利益がない分、資本金ですべて埋める必要があります。

したがって、自己資本=資本金ということになり、新設法人は4000万円以上の資本金を用意しなければ要件を満たせません。

 

定款の事業目的に建設業許可の工事業種名が記載されているか

会社には定款というものがあり、会社の根本的な規則が記載されています。

定款には事業目的の項目があり、ここに建設業許可を受けようとする工事業種名が記載されていなければなりません。

申請する工事業種名と同じ表現で記載するのが望ましいですが、自治体によっては申請する工事業種名に関連する内容で記載しても大丈夫です。

例えば、内装仕上工事業を「家具据付工事」や「クロス貼り工事」などと記載します。

後で、申請する工事業種名を追加したり、変更したりすると、その度に定款の変更・登記をしなければならないので、余計な手間と費用がかかります。

将来的に始める予定の業種があれば、併せて記載しておくのがいいでしょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

この記事でお話ししたのは、建設業許可用にカスタマイズをして会社を設立すれば、余計な手間と費用がかからず、効率的に許可申請まで進めていくことができるということです。

建設業許可と会社設立を同時に行う場合は、まず会社を設立してから建設業許可を申請することになります。

ただし、会社の設立の段階で、許可申請に必要になる書類集めや申請書の作成を並行して進めておけば、会社の設立完了後、すぐに許可申請ができるのでより効率的です。