建設業許可は、欠格要件に1つでも該当すると取得できません。
この欠格要件の中には「破産者で復権を得ない者」という項目があります。
あなたは、「破産をしてしまうと許可は取得できないのか?」と気になっているのかもしれません。
結論を言うと、破産の経験があっても許可は取得できます。
正確には破産をしても【復権を得て】いれば欠格要件に該当しません。
この記事では破産者がこの【復権を得る】とはどういうことなのかについて解説しています。ぜひ一読ください。
復権を得るとは?
破産をすると、裁判所に「破産手続き開始の申し立て」という手続きをすることになります。
この申し立てにより、債務を支払う十分な財産・収入がないと判断されれば、借金の支払い義務の免除が認められます。
これを免責といいます。
よほど悪質なケースを除けば、基本的にはほとんどの人が免責されます。
ただし、免責が確定するまでは、いくつかの権利が制限されます。
例えば、弁護士や警備員など特定の職業に就くことができなかったり、許可なく引越ができないというような制限を受けます。
免責を受ければ、これらの制限は解除されることになります。これを復権といいます。
つまり、複権を得ないものとは、まだ破産手続きの過程で免責が確定しておらず、いくつかの権利が制限された状態のことをいいます。
この「複権を得ていない」状態では、建設業許可の欠格要件に該当してしまいますが、複権を得れば、自己破産の経験があっても欠格要件には該当しません。
複権はいつ得られるの?
ここで疑問なのは複権がいつ得られるのかということですが、一般的には3ヶ月から1年程度の時間がかかります。
破産手続には「同時廃止」と「管財事件」の2つのケースがありますが、このどちらかによって復権までの期間は異なります。
通常は、
- 同時廃止……3ヶ月から4ヶ月程度
- 管財事件……4ヶ月から1年程度
となります。
同時廃止と管財事件の違いは?
簡単に言えば、処分する財産があるのかどうかで同時廃止になるか管財事件になるかが決まります。
「同時廃止」の手続きは、破産者に、高額な財産がない場合(概ね20万円分以下)に行われます。財産が少ない分、手続自体はすぐに終了します。
一方、「管財事件」の手続きは、主要な財産があったり(概ね20万円以上)、調査すべき事情がある場合に行われます。
この場合、破産管財人(通常は弁護士)が選任されます。
破産管財人は、事情を調査したり、資産の売却や保険の解約などを行うためそれだけ手続きに時間がかかってしまいます。
管財事件になる主な原因は以下の通りです。
- 概ね20万円(分)以上の財産がある
- 個人事業者
- 債務が高額(5000万円程度を超える)
復権を得ていることを証明する書類
建設業許可申請では、「破産者で復権を得ない者」に該当していないことを証明するために、身分証明書という書類を提出します。
ここでいう身分証明書とは、運転免許証などのことではありません。
本籍地の役所で発行してもらう公的書類(郵送請求可)のことで、成年後見の有無、破産の有無などを証明するものです。
身分証明書は破産の有無を問わず、建設業許可申請で必ず提出が必要となる書類です。
破産をして復権を得ていなければ、書類には「破産手続き開始決定の通知に接した」というようなことが記載されています。
対象者に復権を得ていない者がいるかどうか申請前に確認をしておきましょう。
もし、役員等の対象者に復権を得ていないものがいれば、役員から外れてもらうなどの対策が必要となります。(役員ではなく従業員として働くことは可能です。)
欠格要件の対象者は?
個人の場合は、代表、支配人が対象となります。法人の場合は役員はもちろん、相談役、顧問、5%以上を出資している株主なども対象です。また、個人・法人ともに営業所長や支店長も対象です。
まとめ
いかがでしたか?
自己破産をしたからといって建設業許可が取得できないわけではありません。
自己破産をしても「復権を得る」、つまり、免責の手続きが済んでいれば取得できます。
そして、復権を得ることができるまでの期間は、同時廃止の場合で3~4ヶ月、管財事件の場合で4ヶ月~1年程度です。
また、建設業許可を取得してから自己破産をすると、欠格要件に該当してしまうので許可は取やはり消されてしまいます。
ただし、復権を得れば再び建設業許可は取得できます。
ここで注意したいのは、弁護士に破産手続きをしてもらう場合、通常は「契約書や注文書、確定申告書、決算書」などの書類も預けるという点です。これらは許可申請で実務経験を証明する書類です。
上記の書類を弁護士に預けたまま、うっかり破棄されてしまうケースも少なくありません。
ここは見落としがちなので、必要書類はきっちり返却してもらいましょう。