廃業届とは、その名のとおり、会社の倒産や合併などによって廃業する際に提出しますが、実はそれだけではありません。
廃業ではなく、許可を受けていた建設業を廃止する際にも提出します。
また、届出書という書類もありますが、この書類も廃業届と密接に関係しています。
この関係性を無視して提出してしまうと、ペナルティーを受けることになるので注意が必要です。
この記事では、廃業届と届出書の概要と関係性について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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廃業届について
以下のケースに該当すれば、廃業届の提出が必要です。
※矢印以下は定められた届出人です。
1、個人で営業していた事業主が死亡したとき → 相続人
2、法人が合併して消滅したとき → 役員であった者
3、法人が破産手続開始の決定により解散したとき → 破産管財人
4、法人が解散したとき → 清算人
5、許可を受けていた建設業の一部またはすべての建設業を廃止したとき → 申請者
特に注意したいのが、5の許可を受けていた建設業の廃止です。
この場合は、会社をたたむという意味ではありません。
例えば、専任技術者や経営業務の管理責任者が退職するなど、許可の要件を満たさなくなった場合に届け出るものです。
廃業届を提出すると、許可の取消し処分がされますが、これは単に許可が必要だった営業を廃止するということにすぎません。
軽微な工事や許可のある他の業種の工事は施工できます。
一部業種の廃業の場合は別の書類も必要
状況によっては、廃業届の他に別の書類が必要となってきます。
例えば、「一部業種の廃業」の場合には、廃業届とともに、専任技術者についての書類が必要になります。
状況によって次の書類が必要になります。
1、担当していた業種は廃業したが、他の担当業種がある場合、担当業種の変更となります。
→ 「専任技術者証明証書」が必要になります。
2、担当していた業種を廃業し、他の担当業種がない場合、専任技術者ではなくなります。
→ 「届出書」が必要になります。
※届出書については後述します。
許可はすぐに再取得できるの?
廃業届による許可の取消し処分は、違反行為などではなく、手続き上の許可の取消しのことです。
不利益処分による許可の取消しと混同している人もいるかもしれませんが、手続き上の許可の取消しの場合は許可を取消されてから5年を待つ必要はありません。
廃業届による許可の取消し処分の場合、要件さえ満たせば、いつでも許可申請が可能です。
※許可の取消しには2種類あります。理解に不安のある方は以下の記事を参考にしてみてください。
届出書について
届出書は、次のケースに該当すれば提出します。
1、経営業務の管理責任者の基準を満たさなくなった場合
2、経営業務の管理責任者を削除した場合
3、専任技術者の基準を満たさなくなった場合
4、専任技術者を削除した場合
5、欠格要件に該当するにいたった場合
※1、3 経営業務の管理責任者、専任技術者が退職などをしていなくなったときなど
※2 経営業務の管理責任者が複数いる会社で、一部の業種を廃業したことにより、人数変更(削除)したときなど
※4 業種や営業所の廃止にともない、専任技術者の人数を変更(削除)したときなど
変更届で許可の取消を回避
経営業務の管理責任者や専任技術者が、退職などの理由で欠けた場合、代わりの者を2週間以内に変更届で届出ます。
そうすれば、許可が取り消されることなく、事業を継続できます。
どうしても、代わりの者がいない場合は、前述の届出書を提出すれば、行政指導により廃業届を提出することになります。
届出書の提出は必ず必要
許可の要件を満たせていなければ、届出書を提出しても、どちらにしても許可を取消されることになるのだから、届出書を提出しても意味がないと思った人もいるかもしれません。
それならば、いっそ廃業届1枚で済ました方が効率的じゃないかと。
しかし、これは認められません。
例えば、役員が交通違反や暴力事件で欠格要件に該当してしまい、その事実を隠ぺいするために、わざと廃業届を提出して、役員を入れかえて再度許可を取得しようとする事業者もいます。
これは虚偽申請になります。
このような背景から、届出書を提出せずに、先に廃業届を提出すれば、例え故意ではなく、勘違いをした場合でも、虚偽申請と判断されてしまう可能性があります。
虚偽申請は、6ヶ月以内の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
さらに、以後5年間は建設業の許可申請ができなくなります。
まとめ
いかがでしたか?
廃業届は、許可を受けていた建設業を廃止する際にも、必ず提出しなければならない書類です。
また、許可の要件を満たさなくなった場合は、廃業届とともに届出書という書類が必ず必要です。
ここで言う許可の要件とは、経営業務の管理責任者、専任技術者、欠格要件のことです。
まずは、この要件を満たせなくなったことを届出書で報告しなければなりません
そして、この報告を受けて、行政が廃業届の提出を義務付けることになります。
この届出書の提出を省くと虚偽申請となってしまうので、注意が必要です。