業種の追加申請も新規申請と同様、要件を満たしていなければ許可は下りません。
業種の追加申請と新規申請とでは要件や手続きの違いはあるのでしょうか?
実際、一定の条件で省略できる要件もありますし、1回許可を取得していれば、簡単に満たせる要件もあります。
この記事では、業種追加の定義やよくありがちな疑問を解説しています。ぜひ参考にしてください。
Contents
業種追加とは?
業種追加とは、建設業許可を受けている者が違う業種の許可を取得することをいいます。
ただし、業種追加をするには同じ許可区分でなければなりません。
建設業許可は「一般」と「特定」で分かれていますが、一般の建設業許可を受けていれば、一般の業種追加のみできます。
一般から特定の業種追加はできません。この場合は、新規申請となります。
これは特定の場合も同じです。特定は特定の業種追加しかできません。
※一般と特定の違いについてはこちらの建設業許可|「一般」と「特定」の違いを完全解説で詳しく解説しています。
業種追加申請の要件は2つのケースで異なる
業種追加をする場合の要件は、許可を更新しているかどうかで異なってきます。
1つずつ確認しましょう。
取得している許可業種を一度も更新をしていない
この場合、新規申請とほぼ同じで、手続き上の違いはほとんどありません。
業種追加するには次の5つの要件を満たす必要があります。
建設業許可の要件をもう一度確認しましょう。
※クリックするとそれぞれの要件の詳細を確認できます。
専任技術者の要件を満たすには、工事業種ごとに経験・資格が必要です。
取得している許可業種を1度以上更新している
一般建設業許可の場合は、1回でも更新をしていれば、財産的基礎要件が省略されます。
これは、毎年提出する決算変更届で確認できるからです。
ただし、特定建設業許可の場合は、財産的基礎要件を省略できません。5つの要件をすべてクリアしている必要があります。
追加申請と新規申請の手続き上の違いはあまりない
業種の追加申請の手続きは、基本的に新規申請と同じです。
追加申請というからには、手続き上、もう少し簡略化されてもいいのになと思った人もいるかもしれません。
しかし、1度許可を取得していれば、すでに要件が整っていたり、書類集めの要領がつかめていることもあるでしょう。
業種追加の要件のポイントは、経営業務の管理責任者と専任技術者です。
経営業務の管理責任者の注意点
※建設業法改正により、現在はどの工事業種でも一律5年の経営経験でクリアできます。
つまり、他の業種で既に建設業許可を取得していれば、その業種の経営業務の管理責任者がこれから追加する業種の経営業務の管理責任者を兼ねることができます。
以下は法改正前の解説です。
経営業務の管理責任者の要件をもう一度確認しましょう。
・許可を受ける業種と同じ建設業の経営経験・・・5年以上必要
・許可を受ける業種と異なる建設業の経営経験・・・6年以上必要
経営業務の管理責任者は同じ人が兼ねやすいと言えます。
というのは、取得している許可業種の経営業務の管理責任者はすでに5年以上の経験があるからです。
許可を受けてから、1年以上経てば自然と6年以上の経験は満たせることになります。
許可を受ける業種と異なる業種でも、6年以上の経営経験があれば、どの業種の経営管理責任者でもなることができます。
専任技術者の注意点
専任技術者要件を実務経験のみで満たすとなると、同じ人が専任技術者を兼ねることは非常に難しくなります。
これは業種ごとに10年の実務経験が必ず必要になるからです。経営業務の管理責任者の実務経験のように融図がききません。
1人の人が兼ねる場合に、実務経験のみで要件を満たすとなると、通算20年以上の経験が必要になります。
※穏和措置が適用される業種もあります。詳しくはこちらの専任技術者|要件穏和で実務経験10年必要なし!で解説しています。
資格で要件を満たせば、1つの資格で複数の業種の要件を満たすこともできるので、資格の方が断然有利です。
複数の営業所がある場合
複数の営業所があれば、1つの営業所のみに別の業種を申請することもできます。
例えば、本社が兵庫、支店が大阪でそれぞれ建築工事業の許可を受けていたとします。
この場合、兵庫の本社にだけ新しく管工事業を追加申請することも可能です。
これは、知事許可の場合も同じです。例えば、兵庫県に神戸(本社)、尼崎(支店)とある場合に、本社の神戸だけに電気工事業を追加申請することも可能です。
まとめ
業種追加の手続きは、基本的に新規申請と同じですが、窓口によっては一定の書類が省略できることもありますし、1度更新をしていれば、財産的基礎要件が省略されます。
業種追加も新規申請と同様、要件を満たさなければなりませんが、特に注意したいのが専任技術者の要件です。
29業種それぞれで、専任技術者の要件が大きく異なってくるからです。
また、複数の業種追加を考えている人は、同じ日に申請をすると手数料が一回分で済みます。これをばらばらの日に申請するとなると、その度に費用がかかってしまうので注意が必要です。
ちなみに、業種ごとに複数の許可を取得すると、許可の有効期間が変わってきます。有効期間がズレると、期限管理が難しくなります。
これに対処するために「許可の一本化」という手続きがあります。許可の一本化については以下の記事で詳しく解説しています。